禁煙について考える
日本人男性の約半数が喫煙者。女性では約13%が喫煙者です。
喫煙が体に悪いと思っていてもなかなかやめられないのは「意志が弱いから」
などと言われていましたが、最近の研究ではそうでないことがわかってきました。
ニコチン依存症
WHO(世界保健機関)は、ニコチンを、
●アルコール
●阿片(アヘン)
●大麻(たいま)
●コカイン
などの依存症物質と同様に扱っています。
禁煙できないのは意志が弱いからなどではなく
「物質的依存症」という病気なのです。
【ニコチンの身体的依存】
ニコチンが体内で一定量になると不安感、イライラ、集中できないなどの不快な症状が起こります。
●喫煙者のニコチンの血中濃度はタバコを吸った直後に急上昇し、30分後には半減、
約1時間後にはゼロに近くなり、ニコチン切れの状態になります。
●ニコチン切れになると不安感、イライラ、集中できないなどの不快な症状が起こるので
タバコを吸うことでニコチンを補給しニコチンの血中濃度を上げます。
●喫煙者は「ニコチンの血中濃度が下がる」→「イライラを鎮めるためタバコを吸う」
ということを一日中繰り返すことになるのです。
【ニコチンの心理的依存】
ニコチンの血中濃度に関わらず、タバコを吸いたくなるのが心理的な依存です。
タバコを吸っている人を見ただけでニコチンの血中濃度が高くても吸いたくなります。
これは喫煙癖、条件反射とも言えます。
【喫煙がどれだけ危険か】
●タバコの煙には
40種類以上の発ガン物質が含まれています。
体内に吸収された発ガン物質は血液を介して全身に行き渡り、
肺ガン、口腔ガン、咽頭ガン、食道ガン、肝臓ガン、膀胱ガン、乳ガンなど
多くのガンの一因となります。
非喫煙者に比べると喫煙者の咽頭ガンの発症は32倍、
閉経期の女性で乳ガンの発症が4倍となっています。
●
COPD(慢性閉塞性肺疾患)になりやすくなります。
常時酸素吸入が必要になる深刻な病気です。
日本では潜在的患者を含めて530万人のCOPD患者がいると考えられています。
※
COPD(慢性閉塞性肺疾患)について
●
血管に与える悪影響
タバコがもたらす一酸化炭素は血管壁を傷め、血管を詰まりやすくし、動脈硬化を悪化させます。
このことにより心筋梗塞、脳梗塞、脳血管性の認知症の一因となります。
またアルツハイマー型認知症にも関わってくると考えられています。
【禁煙への動機づけ】
はっきりした動機があることが大切です。以下は例です。
●こどもが産まれる
●妻が喘息発作を起こした
●友人が肺ガンになった
※健康のために、というような漠然とした理由ではなかなかやめられないものです。
受動喫煙/間接喫煙がどれだけ危険か
受動喫煙/間接喫煙がどれだけ危険なのかを知ることも良いことだと思われます。
●タバコの煙には喫煙者が吸い込む
「主流煙」と
火のついたタバコから立ち上がる
「副流煙」があります。
受動喫煙は、タバコを吸わない人が副流煙や、
喫煙者が吐いた主流煙をすってしまうことを言います。
●「副流煙」には主流煙より高濃度の有害物質が含まれていて
煙には60以上の発癌物質が含まれています。
妻がタバコを吸わない家庭で、夫が1日にタバコを20本以上吸う場合、
非喫煙者の妻と比べて肺ガンで死亡する確率が2倍になります。
●また、妊娠中の妻が受動喫煙すると早産や発育障害が起こる危険性が高まります。
授乳期に母親がタバコを吸うと、乳児がニコチン中毒になったり、
嘔吐、下痢を起こしたりすることもあります。
【受動喫煙/間接喫煙の害】
肺ガン、副鼻腔ガン、動脈硬化、呼吸器系疾患、心臓病、ぜんそく、不妊。
最近の研究では糖尿病の前段階「耐糖能異常」を起こすこともわかってきました。
15年間にわたる調査で、「耐糖能異常」を起こした患者の数は喫煙者22%、
間接喫煙者17%、非煙者12%だったのです。
【蛍族でもダメ?】
実験によると、非喫煙者の家に比べて屋外で喫煙する
『蛍族』の家のニコチン量は7倍にもなることがわかりました。喫煙エリアと禁煙エリアを分けることである程度、受動喫煙/間接喫煙を防ぐことはできますが、完全に防ぐことはできないのです。たばこの有害物質は、喫煙者の息に含まれていますし、服などにも付着したままになっているからでしょう。
【食物繊維で身を守る】
食物繊維の摂取が、受動喫煙/間接喫煙に有効であることがアメリカで報告されました。こどもの頃から喫煙者と同居していても、
食物繊維をしっかり取っている人は大人になってから、咳やタンなどの症状が出にくいというのです。
【食物繊維とは】
「大辞泉」によると
食物繊維とは、食物成分の中で、人の消化酵素では消化できないものの総称。植物繊維のセルロース、ペクチン・リグニン・アルギン酸などで整腸作用や各種の効用があります。受動喫煙/間接喫煙を予防し、酸化ストレスを抑え、血糖値を下げる
食物繊維として、
リンゴや
ブドウなどの果物が注目されているそうです。
タバコを吸うと酒がすすむのはなぜ?
タバコのせいでつい飲みすぎるというのはよく聞くことですが
タバコと飲酒のはっきりした因果関係はこれまで明らかにされていませんでした。
テキサスA&M大でのねずみを使った実験で、タバコに含まれるニコチンと
体内のアルコールとの関係がわかってきました。
ねずみにアルコールを注入したところ、ニコチンを与えられたねずみの方が
与えられなかったネズミよりも、アルコールのレベルが低かったのです。
どのようなメカニズムでニコチンが体内のアルコールレベルを下げているのかは
まだはっきりしていませんが、非喫煙者と同じように酔おうとすると、
喫煙者は非喫煙者も多く飲まないと酔えないということになります。
RECOMMEND BOOKS お薦めの一冊

【超禁煙術】アンリ・ジャン・オーバン
タバコ中毒で死なないための本
著者:アンリ・ジャン・オーバン /パトリック・デュポン
出版社:ワニブックス
サイズ:新書/207p
フランスのタバコ人口を激減させた話題の禁煙本。
フランス式最新禁煙プログラム。
【目次】
第1章 あなたはどんなスモーカーで、なぜニコチン依存症になったか(あなたのタバコの依存度は?/どうしてニコチン依存になったのか ほか)/第2章 あなたは本当にタバコをやめたいか(あなたの動機を検討してみよう/動機を強めよう ほか)/第3章 禁煙のスタート前にしておくこと(自分の喫煙行動を観察しよう/きっかけになる場面とタバコを切り離そう ほか)/第4章 禁煙に踏み切ろう(あなたを支援できる治療薬/喫煙欲求に対抗するための行動療法 ほか)/第5章 女性と子どもの喫煙(妊娠中の女性の喫煙/子どもにタバコを吸わさないようにする方法)